「地域創生」「町おこし」というジャンルに興味を持ち始めたのが2016年頃。
もし自分が町おこしをするならば「どこで何をするか」を考えたときに、まずは自分が生まれ育った町や地域に貢献できれば、、という想いがありました。
そして「旧産炭地で観光地も少ないような筑豊エリアで町おこしをするとすればどんなコンテンツをやればいいのだろう」と想像したとき、ふと、小学生時代に炭鉱跡地で自主映画を撮影していた際に「ほとんど車が走っていない道路、使用していない広大な空き地でアクション撮影をやれば良いのに、、」と漠然と考えていたことを思い出しました。
また、自分が業界に入って見てきたアクション撮影環境の窮屈な現状、過去に夕張市など国内各所で「爆破撮影特区」を目指すも実現できなかったことなどについても同時に思い出され、「筑豊の現状と映画業界の問題をリンクさせたら良いのでは」と思いつく。

【夕張市の爆破特区についての記事(2004年6月)】
「爆破特区」構想は日本映画界の念願の一つと聞いたこともありますが、残念ながら実現に至らず。。
一方、世界に目を向けると、、
2000年代に入りシカゴが財政難に陥った際、市長さんが街ナカで大掛かりなアクション撮影をやらせるということでロケ誘致を推し進め、「トランスフォーマー」シリーズや「ダークナイト」などの作品が撮影され、そういった映画ロケでの経済効果のおかげで財政が復活。
(1作品のロケで約23億円がその地に落ちると言われている)
【シカゴ市内での「ダークナイト」「トランスフォーマー」撮影風景」】




↑ホテル敷地内にセットを設営し、宿泊客は間近で撮影を見学できる
【CHICAGO BUSINESS.COMによるレポート動画】
また、ブルガリアのクルミコフ地区でも、筑豊と同じような産業が廃れた街があり、市長さんが残った廃墟をいくらでも破壊していいし、もっとお金出すなら軍隊でも戦車でもなんでも提供する、という政策を行い、「ダイハード5」や「エクスペンダブルズ」といったハリウッドの大作が多く撮影され、今では、スタジオやNYの街&地下鉄のオープンセットなどもでき、ハリウッドのスタッフが数百人常駐して撮影を受け入れるという仕組みができ、町おこしのレベルを超えた国おこしの一大産業を担うようになった例があり、アクション撮影での地域創生というアイディアがグローバルスタンダートな手法になりつつもありました。
【ブルガリア(クルミコフ地区)の広大な廃墟エリア】



↑建設されたスタジオ



そのような世界的な背景や流れを鑑みつつ、2018年にプロジェクトを立ち上げました。
追記:その後、コロナ禍に入り観光客が激減したイタリアやフランスでも、それまで許可が簡単に下りなかったような歴史的建造物や景観エリアでNetflixのアクション映画撮影を受け入れたり、作品やキャストとコラボした観光PRムービーを別途制作し、エンターテインメントによる地域活性化や観光への強い影響を国が理解して、ロケ誘致を精力的に行っています。
【イタリア観光局とNetflixが制作したPRムービー】

↑フィレンツェ歴史的遺産の広場でのカーチェイス(CG無しの実写)